韓国科学技術院総長「KIPから勇気」 AI哲学研究センターを設立 記念シンポに出口教授と高木博士

 京都哲学研究所の共同代表理事を務める出口康夫京都大学教授と、当研究所リサーチマネージャーでもある京都大学の高木俊一博士が1月21日、韓国科学技術院(KAIST)AI哲学研究センターの設立シンポジウムに招待され、登壇しました。同センターは「哲学・工学・社会科学の協働を通じて価値と規範、人間中心の技術を探究する共同研究拠点」(センター長に就いたKAISTのキム・ドンウ博士) で、シンポではKAISTのリー・グァンヒョン総長が京都哲学研究所の活動から「勇気を得て」設立に至ったと語るなど、当研究所との今後の連携に期待感を示しました。

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 シンポは韓国・大田のKAIST大田キャンパス・アカデミック文化センターで開催され、約100人が参加。リー総長は同センターの設立経緯について「人文学をどのように再構築するか。人文社会という入口がなければ、科学技術は方向を見失う」と考え、数年前から大学関係者と議論してきたと強調。そのうえで、「京都で哲学研究所が設立されたと聞き、私たちにもできるのではないかと勇気を得て、ここまで来た」と語りました。 

  出口教授はオンライン参加で基調講演し、当研究所が提唱してきた「価値多層社会」の考え方を軸に、AI・ロボティクスの進展が社会にもたらす根源的課題などについて話しました。人間だけでなくAIやロボットも含め「WE」として捉える「フェローシップ・モデル」について説明し、日本や韓国のような東アジア社会から提案されるべきだと述べました。質疑応答では、現代社会における個人主義の強まりや「I」と「WE」の相互的重要性についての議論が交わされ、出口教授は初等教育への価値教育の導入など具体的な方策に触れました。 

 一方、高木博士はソウル国立大学のチョン・ヒョンドゥク教授や中央大学校のイ・チャンギュ教授らとともにパネルディスカッションに登壇。AIやロボティクスの技術的発展などについて意見を交わし、学際的研究だけではなく産業界を含む横断的な連携が重要になるとの認識で一致しました。 

 シンポではこのほか、第1回京都会議にも出席したパリ高等師範学校フッサール・アーカイブ協力研究員のキム・ヘヨン博士による「AIにはなぜ哲学が必要か」と題した講演、KAIST 機械工学科長のキム・ジョン教授によるロボット工学の側面からの課題提起など、人文社会科学と工学の双方から意見交換が行われました。

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