万博スイス館で哲学的思索 出口教授と女性科学者たち 「人類の未来」語り合う

 大阪・関西万博のスイス館で4月18日、科学技術と未来をテーマにしたパネルディスカッションが行われ、京都哲学研究所の共同代表理事を務める出口康夫京都大学教授が哲学の観点から人間と科学について語りました。スイス政府系のジュネーブ・サイエンス・ディプロマシー・アンティシペーター財団(Geneva Science and Diplomacy Anticipator= GESDA)が主催したイベントで、当研究所と同財団との関係深化を感じさせるイベントにもなりました。

Details

 大阪・関西万博のスイス館は、AR(拡張現実)などを通じて同国の科学技術イノベーションを体感しつつ、人間・生命・地球などについて考えさせるパビリオンです。GESDAは展示の中核に位置付けられている「Geneva Public Portal to Anticipation(みんなで考える未来)」のコーナーを提供しています。出口教授が今年3月のスイス訪問でGESDA幹部と会談し、今後の連携を約束した縁もあって、日本人として唯一、今回イベントのゲストに招かれました。

 スイス館3階の特設会場で開かれたパネルディスカッションでは、「Geneva Public Portal to Anticipation(みんなで考える未来) 」コーナーの統括責任者ニニアーネ・ペフゲン氏が司会を務め、出口教授のほか、没入型視覚化技術などを研究し同コーナーもデザインしたスイス連邦工科大学ローザンヌ校のサラ・ケンダーダイン教授、生命の源となる「水」の研究で名高い神戸大学のルミアナ・ツェンコヴァ特命教授の3人で意見を交わしました。

 ペフゲン氏が「人間とAIが未来を共創していく可能性についてどう思いますか」と問いかけると、出口教授は「人間とAIとの理想的な関係は、AIが人間の一方的な利益に奉仕する『奉仕=被奉仕』の関係ではありません」と強調。そのうえで、AIやロボットを含む人工物を対等な仲間に位置付けて親和的な関係を築く「フェローシップ・モデル」を提唱しました。約60人の聴衆は、頷きながら熱心に耳を傾けていました。

 閉幕後は同じ会場でカクテルパーティーも開かれ、出口教授と当研究所の辻麻衣子研究員はGESDA理事のヘンリエッタ・フォア元国連児童基金(ユニセフ)事務局長らと親交を深めました。

関連記事はこちら

 

 

Others