京都で深めたAI時代の哲学対話 IPNHが集中セミナー
京都哲学研究所は4月20日から24日の5日間、米ニューヨークの研究機関「哲学・新人文学研究所(Institute for Philosophy and the New Humanities, IPNH)」とともに、京都市内で集中セミナーを開催しました。参加者は講義やワークショップを重ねながら、「AI時代の二元主義と非二元性」について議論を深めました。
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ニュース・記事内容
哲学・新人文学研究所は、ウド・ケラー財団(独)の支援のもと、ボン大学(独)とニュースクール・フォー・ソーシャル・リサーチ(米)の連携により、2020年に設立された国際的な哲学プラットフォームです。当研究所は今年から共同運営機関として加わりました。
2026年のセミナーは、京都とニューヨークの2都市で開く2部構成のプログラムで、京都での開催がその第1部にあたります。スイス・チューリヒに本拠を置き、金融機関向けソフトウェアを手がけるフィンテック企業swissQuantグループの創業者、ローレンツ・シューマン氏と、当研究所のシニア・グローバル・アドバイザーを務めるボン大学のマルクス・ガブリエル教授が共同で基調セッションを行いました。当研究所の共同代表理事である京都大学の出口康夫教授も基調講演者として登壇しました。ボン大学、ニュースクール・フォー・ソーシャル・リサーチ、京都大学からは若手研究者15人が議論に参加しました。
セミナーのテーマは「AI時代の二元主義と非二元性」です。精神と物質、主観と客観、人間と機械、自然知能と人工知能、言語とコード、有機と無機、感性と悟性――。西洋思想を形づくってきたこうした伝統的な対立軸は、AIが人間の知的活動に深く関わるようになってきた現在、人間と機械の関係などを理解するうえで、もはや十分ではなくなっているのではないか。セミナーではこうした問題意識を出発点に、従来の二項対立を問い直し、組み替え、ときに乗り越える道筋について意見を交わしました。
議論の焦点となったのは、哲学的、文化的、倫理的志向としての「非二元性」です。人間とAIを単純に分けて考えるのではなく、その関係をより深く捉えるために、日本、ひいては東アジアの思想的伝統から何が学べるのか。京都学派の哲学や仏教の認識論には、現実をバラバラの個物の集まりとしてではなく、互いに影響し合い、変化し続ける関係として捉える知の伝統があります。参加者はシューマン氏とガブリエル教授の共同基調セッション、出口教授の基調講演、共同ディレクター陣によるレクチャーやワークショップを通じて、この問いを多角的に掘り下げました。
出口教授は講演の中で、「これからのAIは、孤立した個人ではなく、『私を含むWE』全体の人生ナラティブの達成を、仲間として倫理的に支える『実存的AI』であるべきだ」と述べました。東アジアの非二元的な思想を手がかりに、人間とAIを対立関係ではなく、共に生きる関係として捉え直す視点を提示したものです。
最終日には、参加者一同で京都国立近代美術館を訪れ、竹久夢二の企画展を鑑賞しました。その後、平安神宮神苑を散策しながら、西洋と東洋の文化的な違いと、その根底にある普遍性について語り合いました。9月下旬には舞台をニューヨークに移し、さらに5日間のセミナーを行う予定です。
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